BMW M5/M6 part1
ヨーロッパの自動車メーカーは、シャーシ構造からエンジン形状、そしてエクステリア&インテリア・デザインに至るまで、皆オリジナリティを保ちつつ独自の進化をとげています。BMWも長大なストレート6をフロントの車軸よりも後方にマウントしつつ、車両重量配分を理想に近づけたエンジン・レイアウトや、フロントのマクファーソンストラット&リアのセミトレーリングアームと言ったシャーシ・レイアウトは黄金比となっています。
一般的に、フロント・ストラットは重量車には剛性面で不向きだし、リアのセミトレは限界付近でオーバーステアな特性を示すことは良く知られています。しかし、BMWは長年の積み重ねと経験に裏付けされた手法により、これらの欠点を克服し、その上でBMWらしさを演出しています。世界一の直6エンジンばかりがクローズアップされ、よくエンジン屋と表現されるBMWですが、実は一流のシャーシ屋でもあったわけです。
先人達の言葉に「革新的とは物事の始まりであり、完成された物ではない。」と言う意味合いのことがありました。BMWは革新的なサスペンション形式よりも、癖のあるセミトレとわかってセットアップする方が、遙かに完成度の高いシャーシとすることが出きると言うことを実践しているかのようです。
これは、M3にも通じることですが、BMWのシャーシは総じて前後方向に対してラバーブッシュの柔らかさが際だつ反面、横方向(またはヨー方向)に対しては剛性が高く設定されています。BMWで、安易にビックキャリパーを装着するとジャダーが出るのはそのためで、逆に言うと、サスペンションを交換して、走りに振った場合のポテンシャルの高さは他社を抜きん出ているといえます。この固いシャーシを知ってしまうと、国産のチューニングカーがいかに低いレベルで馬力競争に走ってしまっているかを痛感させられます。
M5にしてもこの固いシャーシは健在で、それはサスペンションのセッティングをラグジーに振ったとしても、車体のポテンシャルがなければこういう風にはまとまらないであろうと言うすばらしい仕上がりを見せます。余裕があって初めて得られるその上質感は、やはり一流のと言えるのではないでしょうか?
E60 M5 & E63 M6用ダンパーの開発
M5 & M6 用ダンパーの開発が終わりました。
かなり時間を掛けて、長期間使用したときの、オーナードライバー様その日の気持の変化までを組み入れた仕様になっています。
最後までこだわったのは"乗り心地の質"。
高速道路を流しているだけで気持ちよさを感じられるような、上品な乗り味が表現できたのではないかと思います。
当初、QRSではMercedes Benz 用のサスペンションキットを開発した際、QRSらしくスーパースポーツでまとめ、箱根をポルシェのように走れる様な仕様にしました。
正直なところ、大阪から和歌山へ釣りに行くため、早朝の高速道路をかなりのハイペースで行くような、本当の意味での走りを求めるユーザー様には絶大な支持をいただいた反面、街乗りの乗り心地が固いと不評を買ったこともありました。(2000〜2002年頃)
タフなバネレートに強靱な減衰力によってまとめられた足回りにより、かなりのハイペースで走れる反面、重い車体とバネ下を連結するダンパーのブッシュに負担が掛かり、強化されているにもかかわらず直ぐにブローをしてしまい、コツコツとした作動音が発生したことも不評の原因でした。その後、スプリングレートもソフトに設定し直し、減衰力をコンフォートに振った商品へと方向転換しました。(2003〜2004年頃)
しかし、現在ご好評をいただいているシリーズは、減衰力としてはコンフォートをねらった仕様ながらも、スプリングレートとしては固めの高速ツーリング仕様 がご好評をいただいております。(2005年以降)
こういう経緯もあり、車重のあるラグジーな車両開発には、走りだけではなく、音対策や長時間の使用をしてみて初めてわかる、感性に訴えかけるモノづくりを念頭に置いて日々努力をしています。
