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Ferrari meets Quantum

Ferrari


Quantum

Quadram

Ferrari のシャーシ

フェラーリのシャーシレイアウト(=プラットフォーム)は、シリーズごとにある一定の方程式で成り立っています。
例えばフェラーリ初のミッドシップ DINO246GT (206GT)は、1960年代後半すでに、308GTBからF355までのV8シリーズとほぼ同じサスペンションのレバー比で設計されており、基本コンセプトはそのままに、フェラーリがその30年間を積み重ねるようにして改良をしてきた足跡が伺えて興味深い。あのF40も同じ系列に所属する。

また、フロントエンジンのV12シリーズも、250〜275〜365〜456〜575と進化を遂げている。子供の頃に夢見た365GTB-4/Daytonaと最新の575marranelloには、あまりにも多くの共通点がある。今更ながらにこのことを知ったとき、何か熱い物がこみ上げてきた。
当然、365/512BBの意志はテスタロッサを経由して512TR/512Mに受け継がれている。

このようにQRSでは、シャーシレイアウト&ジオメトリーの解析を徹底的に行い、綿々と受け継がれてきたフェラーリの基本コンセプトを尊重し、商品開発に取り組んでいます。
具体的には、彼らが本来やりたかった速さへの追求。
マーケティングによりそれがかなわなかったのであろう、フロントスプリングのスティッフなバネレート(固いフロントスプリング)の採用により、ブレーキング時の大げさなノーズダイブと、コーナーリング時の過大なロールを押さえ、その結果リアの(内側が浮き上がり)スライドを抑制している。
古くからのフェラーリユーザーであれば、フロント荷重を掛けないままステアリングを操作しても、アンダーステアに終始することを熟知しています。
フェラーリは車づくりの段階から、ドライバーを選んで、ある一定レベルのドライビングスキルを強いてきたとも言えるのではないでしょうか?

しかし、90年代以降のフェラーリは、マーケティングにより、拡販を進めていく上で大切な、新しいフェラーリユーザー全てに、高度なドライビングスキルを求めることは難しいと判断した様に感じられます。
それが色濃く反映されているポイントは、ソフトなフロントスプリング。
それなりのペースで、あえてブレーキングによるフロント荷重を意識しなくても、スロットルのON/OFFで十分な荷重移動を見込めるソフトなフロントスプリングは、その弊害も有りました。
積極的なブレーキングによる荷重移動により、コーナーリングのきっかけを作り出す、スポーツカー本来の走りを熟知したヘビーユーザーにとって、何か物足りなさを感じてしまう。

QRSでは、高いバネレートのスプリングにバランスさせた減衰力のマッチングをはかり、少ないストロークの中でダンピングの効いた、ポジティブな乗り心地の良さ=壮快感を求めました。
その乗り心地の質は、決してメルセデスベンツのようなコンフォートではなく、ファームな乗り心地。スポーツカーってこのくらいの固さでなければだめだよねって言う感覚的な部分を求めてセットアップされています。