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Damper Dyno Result Overview

Damper Dyno Result Overview

How to set-up
これからQRS ダンパーの速さの秘密をひもとく前に、ダンパーの減衰力の基本特性を説明するために、グラフの見方をご説明します。
QRSなりの用語や解釈がありますが、わかりやすくするために多少丸めた表現があるかと思います。
ご了承ください。

Terminology

ノーズ
ダンパーの動き始め=微低速域減衰力(0~)から、メインピストンごとにあるブロー・オフ・ポイントまでの低速域減衰力のグラフの傾きをノーズと呼びます。
ノーズの特性は、ニードル&ジェットで構成されるロースピードアジャスターにより変化しますが、ニードルの形状や寸法と、ジェットのポート長やポート径の組み合わせにより、ストリート仕様やスポーツ走行仕様、またはフロントに適した仕様やリアに適した仕様など様々なオプションがあります。

ブロー・オフ・ポイント
コンプ側(縮み側)減衰力は、シャフトが作動すると直ぐに効き出すロー・スピード・アジャスターから、メインピストンのバルブから得られる減衰力の切り替わりのポイントを、どこに持って行くかが一つのポイントとなる。
このブロー・オフ・ポイントは、車体のジオメトリー(ロールセンターやピッチセンターに対する重心位置の違いなど)やサスペンションのレバー比により、変えていく他、セッティングの目的に応じて設定している。
フロント・ダンパーであればステアリングを切ってからのレスポンスを重視するのか、ターンインの入りを重視するのか?
路面の凸凹に対するハーシュを優先するのか、それともブレーキング時の安定性を求めるのか?
リア・ダンパーであればトラクションの掛かりを重視するのか、コーナーリングの過渡特性を重視するのか?
乗り心地を優先させるのか、それともサーキットのタイムアップを優先させるのか?
エンジンの出力特性に置き換えるのであれば、ある意味、低速のトルクはあるが高速の伸びがいまいちなカムと、低速のトルクはやせていても高回転はスカッと回るエンジンの違いに例えられる。(もしくはその中間=インターミディエイト)
エンジンのECUは、エンジン個々の出力特性に合わせたマップを描いて、そのマネージメントに当たるが、そこでの微調整は、ダンパーの減衰力アジャスターそのもの。ECUのマップをいじったところで、ターボカーでもない限り、エンジンの出力特性をドラスティックに変化させられるわけではない。
レース用の3way や 4way は別にして、このブロー・オフ・ポイントの設定を根本的に変えるためには過渡特性の違うメインピストンで対応することがセオリーである。つまり、ダンパーの減衰力特性を根本的に変えるのであれば、特性の違うメインピストンに交換する以外その方法は見あたらない。
上記の通り、差し障りのないリニアな特性のメインピストンだけでセットアップしたところで、出来ることはバルブスタックによって固くするか柔らかくするかしかなく、減衰力のアジャスターで調整したところで、それをさらに狭い範囲で微調整しているに過ぎない。
所詮すべての発想が、固くするとか柔らかくするとかという幼稚な観点からのアプローチに問題であり、これはチューニングショップで600馬力出た、800馬力出たと言っていることと大差がない。
しかし、レースエンジンで大切なのは目的にあわせたパワーバンドをどこに持って行き、タイヤのグリップの範囲でレスポンスやトラクションをどこまで向上させることが出来るかであり、サスペンションの構成部品の中でダンパーに求められる機能は、まず第一に振動を止めると言うことである。

スロープ
ブロー・オフ・ポイントを過ぎて、メインピストンのバルブが開くと、バルブの強さによって変わる中速域から高速域の減衰力のグラフの傾きをスロープと呼ぶ。

このスロープの角度は、下記の要素によって決まってくる。

メインピストンの特性違い(リニア、ダイグレッシブ、プログレッシブ)
リザーバー側のハイスピードアジャスターによる二次的な減衰力調整
バルブスタックによる調整

QRSでは、上記の要素によって肉付けされる減衰力特性を、車種や目的に合わせてセットアップするため、20種類以上のメインピストンを用意して商品開発に当たっています。


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