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Piston Selection

Piston Selection

How to set-up

このグラフが表しているのは、Linear/Linearのベーシックな特性を持つピストンと、シングル・ダイグレッシブ・ピストン(Digressive/Linear)の比較です。シングル・ダイグレッシブ・ピストンはダイグレッシブ側をCOMP or REBOUND どちらにも使用できます。

ここで説明したいのは、リニアだからオールマイティというわけでもなく、シングル・ダイグレッシブだから優れているというわけではありません。

例えば上のグラフは、数値上リニアの方が弱く設定されていますが、車種によっては、減衰力を強く設定したダイグレッシブの方が乗り心地が良かったりします。
逆に下のグラフは、シングル・ダイグレッシブの方が強く感じられるが、ロールはリニアの方が少ない。 しかし、シングル・ダイグレッシブな特性でないと出てこない乗り味やハンドリングも有り、トラクションもしかりです。

これらを基盤とした開発を進めていくと、当然ながらこれら各々ピストンの中間的な特性=インタ ーミディが出来てきます。 なぜなら、予算に制限のないレース専用ダンパーの場合、2nd-PISTON / 3rd-PISTON / 4th-PISTONと、バルブシステムが複数配置され、それぞれに調整機能が備わりますが、市販用の商品の場合予算に限りがあります。
従って、それらの調整機能を集約し、機械的においしい位置に固定した特性を、1つのメインピストンに盛り込んでいく必要が出てくるからです。

ブローオフポイントの違いを並べて比較すると、そのピストンが受け持つ守備範囲が明確に現れてきます。 
この特性の違いをグラフに表すと、下のグラフになります。


シングル・ダイグレッシブ・ピストンで、ハイスピードアジャスター(リザーバータンク側)を締め込んだような特性を、リザーバータンクのない商品で再現する必要性が出てきたときに、はたして1種類のリニア・ピストンしか選択肢のない商品で、いったい何が出来ると言うのでしょうか?
答えは簡単です。
バルブ・スタックにより強くしたり弱くしたりする以外の選択肢はありません。
それとも時間があれば他社のコピーですか?


Main Piston

Damping Curve Technology のグラフで説明したとおり、減衰力の特性を表すグラフのカーブは、次の3つの要素で構成されています。

1. Nose (ノーズ)
2. Blow off Point (ブローオフポイント)
3. Slope (スロープ)
ノーズやスロープは、外部からのアジャスターやバルブスタックの交換で調整していきますが、ブローオフポイントを変えるためには、高価なレース用ダンパーでもない限り、メインピストンの特性違いを使用する他はありません。
以下に、QRSダンパーが用意する20種類以上のメインピストンの一部をご紹介します。

  • リニア
  • インターミディ
  • ハイ・フロー
  • シングル・ダイグレッシブ
  • ダブル・ダイグレッシブ
  • プログレッシブ
コンプ側&伸び側のブロー・オフ・ポイントを弱めに設定する一方、スロープ(ハイスピード域の減衰力特性)は、グラフの傾きを持たせた一般的な特性。
動き始め(微低速域)はソフトで、動くスピードが上がるにつれて減衰力も強くなるため、ロールやピッチングといった動くエネルギーを吸収=減衰させるのに適している。
しかし、すべての車種に当てはまるわけではなく、リニアな特性を持ったメインピストンだけではセットアップの難しい車種が増えてきている。



コンプ側のブロー・オフ・ポイントを強めに設定したいが、2ndピストンや3rd ピストンによる追加的な減衰力を使用できないとき、このメインピストンを使用することによって、ブロー・オフ・ポイントは強めに設定しつつ、スロープもグラフの傾きを持たせた、中間的な特性を兼ね備える。




標準的な低速域の1次的なブロー・オフ・ポイントを出来る限り低く設定する。
このピストンの特徴は、中速域のリニアなスロープ特性を示した後、2次的なブロー・オフ・ポイントが現れ、高速域に掛けてスロープの角度が徐々に減少する。
これら全体のつながりは非常になめらかで、オイルの流れる経路の抵抗が少なく、かつ流量が多いことに起因する特性を示す。
ハイフロー/ハイフローの組み合わせや、ハイフロー/シングル・ダイグレッシブの組み合わせで使用する。
コンプ側の減衰力特性をダイグレッシブに設定した場合、伸び側の減衰力特性はリニアを選べる。
逆に、伸び側をダイグレッシブ、コンプ側をリニアにも出来る。
ダブル・ダイグレッシブではロール大きくなってしまう車には、シングル・ダイグレッシブとのマッチングを探ります。


コンプ側&伸び側の減衰力特性がダイグレッシブ。
ブロー・オフ・ポイントを強くしたり弱くしたりすることは、比較的調整しやすい反面、メインバルブが開いた以降のスロープ(ハイスピード域の減衰力特性)は、フラットでグラフの傾きは少ない。
しかし、2ndピストンや3rd ピストンによる追加的な減衰力により、スロープの傾きも外部から追加的に調整することが可能。


コンプ側&伸び側のブロー・オフ・ポイントを出来る限り低く設定する。初期作動時の起動トルク(フリクション)も同様に出来るだけ少なくする必要がある。
そこに繋がるコンプ側の特性は、グラフの傾きに対してリニアな特性にする。
伸び側の減衰力も微低速域を弱くソフトにする一方で、スロープに繋がる中低速域はプログレッシブな特性とすることにより、一般的なリニアな特性では得られない傾向を示す。



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